この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
トイレって一般的には「下水道」につながっているイメージで、「浄化槽」や「汲み取り式」のトイレは馴染みのない人も多いと思います。
僕自身、大家さんになってはじめて浄化槽のトイレの物件を所有しました。
不動産物件を購入してから、
- 毎月汲み取り業者を呼ばないといけないの?
- 維持点検費用がかかるの?
なんてならないように、
- 下水道
- 浄化槽
- 汲み取り式
それぞれの仕組みの違い、メリット・デメリット、そしてランニング費用を簡単にまとめました。
下水道・浄化槽・汲み取り式の仕組みの違い
まず前提知識として、一般住宅からの3つの排水の種類をおさえておきましょう。
- 汚水(トイレから出る排水)
- 雑排水(台所・お風呂・洗面所などから出る排水)
- 雨水
これら3つの排水のうち河川などに排出する前に処理が必要なものは「汚水」と「雑排水」です。
では「下水道」「浄化槽」「汲み取り式」がどのように生活排水を処理するのかみていきましょう。
下水道の仕組み
家庭から出る汚水(トイレ)・雑排水(台所、お風呂、洗面所)をまとめて下水道に流して、下水処理場に送ります。下水処理場では生活排水をきれいにしてから河川などに排出します。
下水道の維持管理は自治体が行うため、個人では下水道と接続するだけで使用できます。
下水道を使用するには、次の2つを支払う必要があります。
- 受益者負担金(接続時のみ)
- 下水道使用料
浄化槽の仕組み
家庭から出る汚水(トイレ)・雑排水(台所、お風呂、洗面所)を個人の敷地内の浄化槽で浄化して、前面道路の側溝や用水路、河川等に排出します。
浄化槽は汚水や雑排水を微生物により分解して浄化する仕組みのため、定期的な清掃と点検をすることが法律で決められています。
- 定期的清掃(年1回程度)
- 保守点検(年3回程度)
- 法定点検(年1回程度)
浄化槽は駐車場の下などに埋設されており、微生物のための空気を送るブロアーが近くに設置されています。(ブロアーの電気代がかかります。)
また、ブロアが故障すると交換する必要があります。上の写真のものでは、1万円程度です。
ブロアの詳しい交換方法はこちら。
故障した浄化槽ブロアを交換する方法【ポンプの選び方・交換費用・取り付け手順まとめ】浄化槽には大きく分けて「合併浄化槽」と「単独浄化槽」の2つの種類があります。
- 合併浄化槽
家庭から出る汚水(トイレ)、雑排水(台所・お風呂・洗面所)をまとめて合併浄化槽で処理します。(現在、新設できる浄化槽はこの合併浄化槽だけです。) - 単独浄化槽
家庭から出る汚水(トイレ)のみを単独浄化槽で処理します。雑排水(台所・お風呂・洗面所)はそのまま用水路や河川に排出します。
現在、新設できる浄化槽はこの合併浄化槽だけです。単独浄化槽は、環境汚染の問題から平成13年4月から設置が禁止されています。
古い中古住宅などでは単独浄化槽が設置されていることがあります。
汲み取り式の仕組み
汲み取り式は、家庭から出る汚水(トイレ)をそのまま便槽と呼ばれるタンクに貯めます。
便槽には浄化槽のように浄化して排水する機能がないため、定期的にバキュームカーで汚水を汲み取る必要があります。
汲み取り式のトイレには大きく分けて「汲み取り式トイレ(いわゆるボットン便所)」と「簡易水洗」の2種類があります。
昔ながらのいわゆるボットン便所の1つで、トイレから汚水がそのまま便槽に流れるタイプのトイレです。
トイレと便槽の間にフタがある場合もありますが、汚水の臭いがします。
汲み取り式のトイレ部分だけ水洗トイレにしたもので、便槽との接続部分を水で塞ぐため、ボットン便所と比べ臭いが軽減されます。
見た目は通常の水洗トイレと変わりません。
トイレ使用時に水を使用するため、ボットン便所に比べ便槽に汚水が貯まるペースが早く、汲み取り頻度が多くなります。
下水道・浄化槽・汲み取り式のメリット・デメリット
下水道のメリット・デメリット
- 設備の維持管理が不要
- 接続時に受益者負担金がかかる
浄化槽のメリット・デメリット
- 下水道の未整備地域でも排水できる
- 浄化槽の維持点検が必要
- 浄化槽・ブロアーの故障時は個人負担
- 下水道整備時は切り替えが必要
汲み取り式のメリット・デメリット
- 非常時にも使用できる
- とにかく臭い
- 定期的に汲み取りが必要
- 簡易水栓の場合は汲み取り頻度が増える
下水道・浄化槽・汲み取り式のランニング費用の比較
下水道・浄化槽・汲み取り式のそれぞれのランニングコストを次のモデルケースで計算してみます。
下水道のランニング費用
東京都水道局によると、5人家族の上水道使用量は約30m3/月です。2ヶ月で60m3使用することになります。
水道・下水道料金早見表の2ヶ月で60m3使用したときの料金から1ヶ月あたりの費用を計算すると
下水道料金:7084円 ÷ 2 = 3542円/月
浄化槽のランニング費用
浄化槽の場合、下水道を使用しないので下水道使用料は発生しません。代わりに浄化槽の維持点検費用(清掃・保守点検・法定検査)とブロアの電気代がランニングコストになります。
環境省の浄化槽サイトによると、5人家族用の浄化槽の維持管理費の例は以下のとおりです。
- 浄化槽清掃:25000円/年
- 保守点検:18000円/年
- 法定検査:5000円/年
- ブロア電気代:11000円/年
- 合計:59000円/年
この合計金額が浄化槽のランニングコストですので、1ヶ月あたりの費用を計算すると
浄化槽の維持費:59000円 ÷ 12 = 4912円/月
僕の所有物件で浄化槽ブロアの交換をしたことがあります。費用や交換方法についてはこちらの記事をご覧ください。
故障した浄化槽ブロアを交換する方法【ポンプの選び方・交換費用・取り付け手順まとめ】汲み取り式のランニング費用
汲み取り式トイレの場合、便槽の汚水の汲み取り費用がランニングコストになります。
ダイワ化成株式会社によると、簡易水洗・温水洗浄便座を使用した場合、一ヶ月で発生する汚水量は大人一人あたり120Lです。5人家族だと600Lです。
一ヶ月の汚水量分は便槽に貯水できるようにタンクを選ぶので、月1回の汲み取りを実施します。
東京都八王子市のホームページによると、1回の汲み取り費用は4000円です。
汲み取り式の維持費:4000円/月
下水道・浄化槽・汲み取り式のどちらが良いの?
下水道・浄化槽・汲み取り式の5人家族の場合のランニングコストは以下のとおりです。
- 下水道:3542/月
- 浄化槽:4916/月
- 汲み取り式:4000円/月
今回の試算では、下水道のランニングコストがいちばん安いですが、自治体によって料金が変わることがあります。
汲み取り式は臭いの問題もありますので、ランニングコストが安くなったとしても避けたほうが無難です。
また浄化槽の維持点検の手間や故障時の費用のことを考えると、やはり下水道が最も良いですね。
順位を付けるなら次のようになります。
- 下水道
- 合併浄化槽
- 単独浄化槽
- 簡易水栓
- ぼっとん便所
6月に簡易水洗の中古物件購入しましたが、前の居住者が引っ越し前に汲み取りを行ってくれて来週初めて汲み取りを予約しましたけど料金はわからないですが、下水道使用してないので下水道料金取られなく水道料金も基本料の1,000円+税でおさまっておりコストはかからないですねー
佐藤さん、コメントありがとうございます!
簡易水栓の物件を購入されたんですね。僕は簡易水栓の物件を持っていませんが、浄化槽も汲み取りや点検をしない限り一切お金がかからないので似たような感じです^^
汲み取り式にメリットがないと書かれていますが、停電断水時も普通に使用できるメリットがありますよ。簡易水洗ですらない昔ながらのボットン便所は使用するのに水も電気も必要ありません。災害時、家が壊れさえしなければ備蓄がなくとも1ヶ月くらいはトイレの心配がありません。自宅の屋内には設置したくないですけど。
ちょうど島で下水がない物件のリフォームを検討しているところだったので、
簡易水洗と浄化槽のランニングコストの比較、大変参考になりました。
色々不便もありますが、ランニングコスト大きく変わらないので初期投資が少ない
簡易水洗でひとまずやっていこうとおもいます。
さとさま
コメントありがとうございます。記事がお役に立ったようでよかったです^^
ただ、こちらの記事のランニングコストは都市部での比較なので、島のような特殊な地域ですと変わるかもしれませんのでご注意ください。